Report of the Subcommittee on Management and Treatment of Meibomian Gland Dysfunction

 

Gerd Geerling, 1 Joseph Tauber, 2 Christophe Baudouin, 3 Eiki Goto, 4 Yukihiro Matsumoto, 5 Terrence O'Brien, 6 Maurizio Rolando, 7 Kazuo Tsubota, 5 and Kelly K. Nichols 8



本分科委員会の目的は、マイボーム腺機能不全( MGD )の内科的・外科的治療選択肢に関する現在の診療および公表されたエビデンスについて検討すること、そしてエビデンス、知見、概念、さらには今後研究を重 ねる必要がある、メカニズムに関する見解が矛盾または不足している領域を特定することである。これらの目的を達成するために、臨床教科書および科学文献の 包括的検討を実施するとともに、合意が得られている基準に従い、「アメリカ眼科学会診療ガイドライン」を改変した臨床研究および基礎研究に関する客観的な 基準を用いて、公表されたエビデンスの質を分類した 1 ( Table 1 )。臨床教科書および既報の多くにおいて用語がしばしば置き換えられており、前部・後部眼瞼炎および/またはマイボーム腺炎の管理が同時に検討されている ことが多いことに留意する必要がある。したがって、この過程において広範囲の資料についての検討が行われた。用語の統一を図り、「マイボーム腺機能不全」 という用語が世界的に採用されれば、 MGD の臨床研究および臨床治療を前進させる上で大いに役立つであろう。

現在の診療パターン

MGD の管理に関する主要な臨床ハンドブックの推奨事項については一般的な合意が形成されているものの、世界各国の診療パターンには顕著な相違が認められ、治療 法の実行可能性および一般的に使用される臨床マニュアルがそうした相違をもたらす理由の一つになっている。具体的には、「 The Moorfields Manual of Ophthalmology 」 2 および「 The Wills Eye Manual 」 3 ( Table 2 )は以下のことを推奨している。

• ウォームコンプレスおよび眼瞼マッサージを最大 1 日 4 回、 15 分間実施する。

• ドライアイを合併している患者に対して潤滑点眼剤を補助的に使用する。

• 中等度から重度の患者に対して抗生物質軟膏を局所投与する。

• 再発患者に対してテトラサイクリン誘導体(例:テトラサイクリン 250 mg を 1 日 4 回、またはドキシサイクリン 100 mg を 1 日 2 回)を 6 週間から数ヵ月間にわたり全身投与する。

• 重度の患者についてはステロイド点眼の短期投与を検討する。霰粒腫に対しては切開および掻爬を行い、任意でステロイド注射を実施する。

眼瞼炎およびマイボーム腺炎の管理に関する上記のマニュアルはいずれも、低刺激性(乳児用)シャンプーおよび綿棒を用いて眼瞼縁を洗浄することを推奨するとともに、既知の治療法が存在しない慢性疾患であることについて患者に助言することも提案している。

Lemp と Nichols 4 は最近、眼科医薬品の製造業者が主催する情報セミナーに参加した眼科医 120 名および検眼医 84 名を対象とした調査に基づく眼瞼炎の管理に関する展望を発表した。回答者が自らの臨床的認識として報告したところによると、眼瞼炎患者が来院した場合、そ の 69% に対して何らかの形の治療が実施され、この患者群の約半数に対して処方薬ベースの治療が実施された。前部眼瞼炎および後部眼瞼炎の治療目標に関して、眼科 医と検眼医との間で若干の相違があり、検眼医は自覚症状の軽減および処方薬の安全性プロファイルの高さが重要であると強調しているのに対し、眼科医は前部 眼瞼炎については細菌量の減少、後部眼瞼炎についてはマイボーム腺機能の改善が重要であると強調している。当然ながら、これらの治療目標は互いに相容れな いものではない。

現在の MGD 治療の診療パターン

全体として、眼科診療従事者が実施する MGD の治療は大陸間で大きく異なる。過小報告により診療パターンの正確な評価は困難になるが、大部分の眼科医は、過小診断は一般的であり、臨床追跡調査の実施 は不規則であることに同意している。眼瞼加温および眼瞼清拭の実施は一般的に推奨されるが、両者とも正確な方法は実施時間および頻度において多様である 2,3 。眼科医は涙液減少型ドライアイと蒸発亢進型ドライアイの鑑別( MGD の鑑別がより重要かもしれない)のために行われる患者教育が広範囲に不足していることを認識している。患者教育が行われた場合でも、それをどのような意味 合いで理解するかは患者毎で異なる。同様に、すべての大陸の眼科医は、患者は医師の指示にかかわらず眼瞼清拭の方法を独自に編み出すと述べている。その結 果、眼瞼清拭は不十分で効果が得られないことが多く、効果がないものとして早期に断念される。多くの患者



TABLE 1. Grading Level of Evidence of Clinical and Basic Research Studies 1


患者が人工潤滑点眼剤を使用しているが、誤診および/またはドライアイが同時に診断されたことに より使用していることが多い。多くの種類の潤滑点眼剤(一部は脂質成分を含有)が世界中で利用可能である。米国ではテトラサイクリンの全身投与が後部眼瞼 炎の治療において最も多く処方される 4 が、欧州および日本では米国と比べてその使用頻度は低い。 2 番目に多く処方されるのは抗生物質点眼および/または抗生物質・ステロイドの併用である。抗生物質・ステロイドの併用は急性増悪または前部眼瞼炎に対して 臨床使用されるが、前部眼瞼炎と後部眼瞼炎は臨床鑑別において混同されることから、使用パターンの評価は困難であるという点に留意する必要がある。抗炎症 作用があると考えられているマクロライド系抗生物質であるアジスロマイシンの点眼は、一部の国で使用可能であるが、すべての国で使えるわけではない。さら に、 MGD または眼瞼炎の治療において、その有効性に関する試験は米国以外ではほとんど実施されていない。 MGD と涙液減少型ドライアイが合併している患者群を対象としたシクロスポリン点眼の使用について報告した複数の試験が実施されているが、シクロスポリン自体も 北米以外では広く市販されていない。


利用可能な治療選択肢を支持するエビデンス

MGD の治療における人工潤滑点眼剤

MGD の治療における人工潤滑点眼剤は一般的に人工涙液( AT: artificial tear )と呼ばれるが、この役割を理解するためには、 MGD と涙液減少型ドライアイの両方で働いている病態生理学的メカニズムについて簡単に考察する必要がある。涙液水層の減少は MGD における中心的な病態生理学的メカニズムではないものの、 MGD 患者の多くに発症する合併症である。公表された推定値は、調査対象となった臨床診療の種類により 50% ~ 75% と幅があるものの、涙液産生不足と MGD が合併している可能性はさらに高い 4 。前述の診療パターンから示唆されるように、 MGD は世界の眼科診療において最も過小診断され、過小治療され、過小評価されている疾患である。

自覚症状および/または日常的な臨床検査に基づいてドライアイと診断された患者の多くは、臨床経験に基づいて判断した場合、 MGD のみに罹患している、あるいは MGD とドライアイが合併している可能性がある。涙液減少型ドライアイの自覚症状と MGD 関連の蒸発亢進型ドライアイの自覚症状を鑑別することは極めて困難であることから、 2 つの異なる患者群に明確に区分することは不可能かもしれない。実際に、これらの 2 種類のドライアイ疾患は広範囲の患者に存在しており、 1 種類の自覚症状および他覚所見のみが限定的に現れるのはまれである可能性がある。涙液蒸発量の亢進と涙液産生(量)の減少はいずれも、ドライアイの病態生 理の中心的なメカニズムと考えられている涙液浸透圧を上昇させることから、この考え方は病態生理学的に理解可能である 5 。

涙液減少型ドライアイと MGD がこのように混在している事実は、これらの 2 つの疾患をさまざまな程度で発症している患者の治療法を開発する上で極めて重要である。涙液層を補給することにより、蒸発亢進型ドライアイ( MGD の合併の有無にかかわらず)や涙液減少型ドライアイなどの一連の眼表面疾患を仲介する「最終共通経路」に対処することが可能である。涙液量が増加すると高 浸透圧が軽減し 6 、眼瞼結膜と角膜上皮、眼球結膜、とりわけ lid wiper 部の上皮 7-9 との摩擦が低下する。これにより涙液油層の伸展も改善される 10 (臨床研究レベル II )。さらに、人工涙液の使用により眼表面の毒素および残屑が洗い流され、涙液中の存在が確認されている炎症性サイトカインおよびその他の炎症性分子の濃度 が低下することも考えられる 11-16 (臨床研究レベル II/III )。人工涙液の頻回点眼は、これらの



TABLE 2. Recommendations in Clinical Handbooks for Treatment of Posterior Blepharitis and Meibomitis


これらのすべてのメカニズムにより、炎症反応を誘発する刺激を軽減することに役立つ 17 (臨床研究レベル II )。

MGD に対する人工涙液の使用については、この仮説を実証する基礎研究も臨床研究も公表されていないことから、人工涙液の使用が果たしている望ましい役割につい て提唱されている説明は推測に基づくもので、証明はされていないとみなさなければならない。無作為化比較対照試験から得られたエビデンスが存在しないにも かかわらず、大部分の眼科医は涙液減少型ドライアイおよびあらゆる重症度の大部分の眼表面疾患の治療の中心として人工涙液に信頼を寄せている。幅広い眼表 面疾患のうち眼アレルギーの管理における人工涙液の有効性は、おそらく定期的な反復点眼により達成される洗浄・潤滑作用に関連している。多くの臨床医は MGD の治療において人工涙液の慢性使用を奨める際に同じ根拠を用いる。

涙液減少型ドライアイの研究から得られたエビデンスは、 MGD に対して人工潤滑点眼剤を選択することが合理的であることの根拠となっている 1 。人工涙液を選択することの主な懸念としては、防腐剤の役割、粘度の役割、そして最近では、涙液層への油(脂質)の補給などが挙げられている。眼表面毒性 における防腐剤の役割は過去 10 年間にますます注目されるようになっている 18-28 。 In vitro の上皮細胞において防腐剤により毒性が誘発されることには議論の余地のないエビデンスが存在するにもかかわらず、臨床試験においては、 MGD に対して防腐剤入りの人工涙液をどの程度の頻度まで安全に使用できるのかを明らかにしたデータは得られていない。従来の知見では、容器に入った(防腐剤入 りの)人工涙液は、臨床的に明らかに顕著な毒性(角膜上皮へのフルオレセイン染色の取り込み)を伴うことなく、 1 日に 4 ~ 6 回使用することができる。防腐剤誘発上皮毒性に関する試験の大部分は、ベンザルコニウム塩化物( BAK: benzalkonium chloride )などの界面活性型の防腐剤を対象としたものであった。亜塩素酸ナトリウムや、過ホウ酸塩および過ホウ酸ナトリウム 1.5% ( Purite 0.15% 、 Allergan 、カリフォルニア州アーバイン)などの酸化力のある、いわゆる消滅型( vanishing )防腐剤が添加されることが多くなったことに伴い、この推奨事項を変更すべきか否かについては、 MGD および MGD 関連ドライアイに関する現在までに公表されている試験からは判断することができない。

公表された試験のうちいくつかは、ドライアイの治療におけるより粘度の高い人工潤滑点眼剤の優越性を 支持している 29-32 。大部分の臨床医は、粘度が高い医薬品は眼表面滞留時間が長くなると考え、利用可能な多数の人工涙液製剤の中から治療薬を選択する。眼表面滞留時間は軟膏 が最も長く、ゲル点眼薬が次に長く、力のない潤滑点眼剤は短時間しか滞留し ない。霧視は粘度と直接的な相関を示す傾向があり、眼表面滞留時間と望ましくない霧視とをうまく調和させる必要がある。

MGD の治療における点眼による脂質補充

脂質含有点眼液や点眼スプレー、乳化型点眼液、軟膏の使用による涙液層脂質への補給が試みられてい る。歴史的に、脂質含有潤滑点眼剤は使用後に霧視が誘発されることから、広く使用されてはいない。近年では、新しい製剤が以前より受け入れられるように なっているが、公表された研究は少ない 16,33-36 。

Goto ら 37 は、非炎症性の閉塞性 MGD 患者(涙液減少型ドライアイの合併の有無にかかわらない)を対象に、自己調製の均質化 2% ヒマシ油点眼液の低濃度製剤を 1 日 6 回点眼した小規模無作為化比較臨床試験(臨床研究レベル I ・ II )について報告した。油性点眼液治療後、プラセボ点眼治療後と比較して、以下の評価項目に有意な改善が認められた:自覚症状スコア( P = 0.004 )、涙液干渉像のグレード( P < 0.0001 )、涙液蒸発率( P = 0.01 )、ローズベンガル染色スコア( P = 0.007 )、涙液層破壊時間( TBUT: tear film breakup time )( P < 0.0001 )、マイボーム腺圧出性のグレード( P = 0.002 )。

健常者および MGD 合併の有無にかかわらない涙液減少型ドライアイ患者を対象とした乳化剤ベースの潤滑点眼剤の試験が実施されている(臨床研究レベル II ) 38,39 。対照眼と比べた場合、乳化剤投与眼では、既に存在している涙液油層の急速な再構築が涙液干渉像検査で確認された。

脂質含有点眼液は多くの国で入手困難である。そこで、蒸発亢進型ドライアイまたは MGD の治療における脂質の局所補充として、従来の眼軟膏の使用に関する試験が実施されている。眼軟膏を大量に塗布すると霧視が長時間持続することから、 Goto ら 40 はドライアイおよびマイボーム腺閉塞を有する患者に、眼瞼縁の全長にわたり低用量の 0.05 g 脂質含有軟膏を塗布した(臨床研究レベル II )。また、重度 MGD 患者を対象とした第二の試験 41 (臨床研究レベル III )でも脂質含有軟膏を同様に使用した。オフロキサシン眼軟膏は極性脂質と非極性脂質の両方を含有していることから、オフロキサシン眼軟膏を選択した。先行 して実施されている進行中の治療に加えて、オフロキサシン眼軟膏を 1 日 3 回塗布した。脂質による追加治療後、眼乾燥感の自覚症状スコア( P < 0.0001 )、涙液干渉カメラで測定した油層の厚み( P < 0.0001 )、 TBUT ( P = 0.01 )、マイバム( meibum )圧出性のグレード( P = 0.0005 )が有意に改善した。涙液層干渉測定法では、軟膏塗布後は涙液油層の厚みがより均一になることが確認された。このような改善は、マイボーム腺異形成を伴う 欠指外胚葉性異形成( EEC: ectrodactyly-ectodermal dysplasia-clefting )症候群のマイボーム腺形成不全の治療においても認められている 41 。

これらの補充試験では脂質軟膏には抗生物質が含まれることから、観察された改善に関与しているのは抗 生物質と脂質のどちらであるかについて若干の不確実性が生じる。脂質製剤単独の有効性を確認するためには、軟膏基剤単独とオフロキサシン製剤を比較する適 切なデザインの無作為化比較対照試験を実施することが必要になる。

脂質含有リポソーム噴霧薬については、 TBUT 低値および眼瞼縁の炎症性変化によって定義される蒸発亢進型ドライアイ患者を対象とした 2 つの前向き無作為化多施設共同試験(臨床研究レベル II )が実施されている。患者にヒアルロン酸の人工涙液、トリグリセリドゲルもしくはリン脂質リポソーム点眼スプレーのいずれかを、それぞれ最低 6 週間投与した。リン脂質リポソーム噴霧薬群は、ヒアルロン酸点眼薬群およびトリグリセリドゲル群と比べて、球結膜弛緩の所見( LIPCOF: lid-parallel conjunctival folds )および眼瞼縁の炎症が有意に少なく、涙液層破壊時間が有意に改善した 42,43 。

コメント: 臨床試験では、脂質補充の使用により MGD の自覚症状および他覚所見の一部が改善することが実証されており、これは涙液層の安定性の改善によるものである可能性がある。 MGD のすべての重症度における有効性を明らかにするために、十分に定義された MGD を有する患者を対象としたさらなる無作為化比較対照盲検試験を実施する必要がある。

眼瞼清拭およびウォームコンプレスまたは加温

眼瞼清拭は MGD の臨床治療の中心と考えられている。眼瞼清拭は通常、加温および眼瞼の機械的マッサージという 2 つの要素から成る。

眼瞼加温: 蒸気の有無にかかわらず加温を行う MGD の研究が頻繁に実施されている 37,44-49 。閉塞性 MGD は、これまでマイバムの分泌量の減少に関連していると定義されている。マイボメトリーを使用した Yokoi ら 50 の報告によると、 MGD 患者のマイボーム腺機能は健常被験者のマイボーム腺機能と比べて有意に低かった(基礎研究レベル II )。 McCulley と Shine 51 は、マイボーム腺分泌物のエステル分画組成はそれぞれ融点が異なる可能性があること、そして MGD では融点が高い脂質への変化が生じており、涙液層は流れが悪くなり動きが少なくなる可能性があることを示唆した(基礎研究レベル II )。実際に、健常者のマイボーム腺分泌物は 32 ℃で融解し始め、閉塞性 MGD 患者では 35 ℃で融解し始めることが示されている 51 。眼瞼加温療法は病理変化を呈したマイボーム腺脂質を融解することによりマイボーム腺の分泌を改善することが期待される。加温はさまざまな方法で実施する ことが可能であり、簡単なウォームコンプレス(例:蒸しタオル、温めた米袋)、赤外線や温風を用いた装置などの方法がある 37,44-49 (臨床研究レベル II/III )。

ウォームコンプレスは一般的に推奨されるが、 MGD の治療法としては十分に標準化されておらず、患者自身が実施する加温の時間は一定ではなく、患者のコンプライアンスもさまざまである。 Nagymihalyi ら 52 の報告によると、眼瞼の温度は健常者におけるマイボーム腺分泌物の分泌に有意な影響を及ぼした(臨床研究レベル III )。 50 cm の距離から 250W の赤外線灯を当てたところ、眼瞼表面温度が上昇し、マイボーム腺から眼瞼縁への油分の分泌量が増加した。 Olson ら 49 の報告によると、閉瞼した皮膚に温めたタオルで圧迫( 40 ℃)を 5 分間実施したところ、閉塞性 MGD 患者の涙液油層の厚みは 80% 超の増加を示し、 15 分間実施した後にはさらに 20% の増加を示した。対側眼に室温( 24 ℃)のタオルで 5 分間圧迫しても、涙液油層の厚みの増加は認められなかった 49 (臨床研究レベル II )。この試験における涙液油層の厚みの増加は、自覚症状スコアの減少と有意に関連していることが明らかになった。 Blackie ら 44 はウォームコンプレスによる治療を最適化するためのプロトコールを公表するとともに、十分な加温を達成して分泌物の変化を生じさせるために、事前に 45 ℃まで温めた新しい蒸しタオルと 2 分毎に交換して、眼瞼と最もよく接触するような形で 45 ℃のホットコンプレスを最低 4 分間連続的に当てることを推奨している(臨床研究レベル II )。

ウォームコンプレスの他の熱源としては、眼部加温装置、赤外線照射、蒸気、ホットアイマスクなどがある。 Goto ら 53 の報告によると、閉塞性 MGD 患者の眼瞼に対して赤外線温熱装置を用いた治療( 5 分間・ 1 日 2 回)を 2 週間実施したところ、涙液の安定性が増大し、ドライアイの自覚症状が軽減した(臨床研究レベル III )。これにより、涙液蒸発、眼表面上皮障害、マイボーム腺開口部の閉塞も改善した。 Mori ら 48 の報告によると、温熱シートアイマスクを用いて 1 日 1 回 5 分間、 2 週間にわたり眼瞼の加温を実施したところ、 MGD 患者のドライアイの自覚症状、涙液の安定性、涙液油層の均一性が改善した(臨床研究レベル II ~ III )。

Matsumoto ら 47 の報告によると、 MGD 患者を対象に温熱湯気発生装置を 1 日 2 回 10 分間、 2 週間にわたり使用したところ、 眼精疲労の自覚症状が緩和され、涙液の安定性および眼表面上皮障害が改善した(臨床研究レベル II )。この試験では、温熱湯気発生装置の 10 分間の使用により、涙液油層の厚みの増加が患者と対照被験者の両方で確認された。 Mitra ら 54 の報告によると、蒸気発生装置を用いた MGD の治療を実施したところ、健常者の涙液油層の厚みが増加し、涙液層の安定性がさらに高まり、眼の快適度の自覚症状が改善された(臨床研究レベル II )。

Ishida と Matsumoto の報告においても、ホットアイマスク( Orgahexa 、 Therath Medico 、日本・東京)を毎日 10 分間、 2 週間にわたり使用したところ、 MGD 患者の涙液機能と眼表面状態の両方が改善され、自覚症状が有意に軽減した 46 (臨床研究レベル III )。同じ期間について比較した場合、これらのアイマスクは MGD 患者では従来のアイマスクより有効性が高いことが確認されたが、 健常対照者 では有効性の差は認められなかった。

眼瞼加温とウォームコンプレスの併用は、 Fischer-Schweitzer の多角形反射により証明されているが、ウォームコンプレスによる軽い圧力がかかることが原因であると思われる、角膜の変形に起因する一過性の視力低下を誘 発することも報告されている 44,55 (基礎研究レベル II )。そうした機器を用いて健常対照者および MGD 患者の自覚症状および他覚所見の変化を調べた大規模前向き無作為化比較試験はこれまで実施されておらず、今後実施する必要がある。

機械的な眼瞼清拭: MGD の治療においては、眼瞼清拭(すなわち、こすり洗い、機械的圧迫、さまざまな液剤を用いた睫毛および眼瞼縁の洗浄)が眼瞼加温とともに推奨されることが多 い。 Romero ら 56 は、非無作為化非比較対照の前向き試験において、眼瞼清拭と温めた生理食塩水および防腐剤なしの人工涙液の併用により、 MGD 患者の涙液層破壊時間が有意に改善し、自覚症状が有意に軽減したと報告している(臨床研究レベル II )。この試験では、 MGD 患者に対して前述の治療を 6 週間にわたり実施したが、 MGD 患者と健常者の比較は行っていない。 Key は眼瞼清拭に関する別の試験において、低アレルギー性固形石鹸、乳児用希釈シャンプー、市販のリッドスクラブの使用は前部眼瞼炎の治療に有用であると報告 した 57 (臨床研究レベル III )。治療後に眼瞼炎の生体顕微鏡的所見の改善が認められたが、この試験においても比較対照群は設定されていなかった。 Paugh ら 58 の報告でも、眼瞼のこすり洗いおよびマッサージにより MGD 患者の TBUT が延長した(臨床研究レベル II )。この試験では、 2 週間の治療が臨床所見の消失に有効であることが確認され、対照群では有意な変化は認められなかった。 Matsumoto らは閉塞性 MGD を対象に、清拭、局所ステロイド、局所抗生物質などの治療に対する反応を共焦点顕微鏡を用いて評価したが、清拭単独の評価は行わなかった 59 (臨床研究レベル II )。最新の文献には、臨床研究レベル I の科学的エビデンスに該当する、上記のテーマに関する試験は掲載されていないように思われるが、実施頻度が高いこの臨床治療の選択肢の有効性を確認するた めに、今後そうした試験を実施する必要がある。

眼瞼マッサージの適切な実施により患者の治療が促進されることがある。したがって、患者に対して適切な指 示を与える必要がある。例えば、患者に対して以下のような指示を与えることが考えられる。眼瞼への温熱療法実施後、上下眼瞼を固定化するために外眼角を 引っ張る。続いて、反対側の手の指で眼瞼を軽く上方または下方に圧迫する。このとき、内眼角から圧迫を開始し、外眼角の方へ外側に移動させるようにする。

治療を目的としたマイボーム腺の物理的圧迫は 80 年以上の歴史を持つ 院内手技 である 60-63 。患者が自宅で自己圧迫およびマッサージを行うことにより、これを補うことも可能である。報告されている手技としては、眼球に対して眼瞼を軽くマッサージ する 61 、上下の眼瞼を互いに押しつけるように強制的に圧迫する 63 、眼瞼の内表面に置かれた硬い物体と眼瞼の外表面に指、親指または硬い物体(例:ガラス棒、綿棒、金属パドル)を添えて眼瞼をはさみ強制的に圧迫するなど さまざまな手技がある 62,63-66 。眼瞼の内表面に置かれた硬い物体は、圧迫中に眼瞼を通して伝わる力から眼球を保護するために、また安定した抵抗をもたらすために使用するものであり、こ れによりマイ

マイボーム腺に加わる力が増加する。閉塞したマイボーム腺の圧迫にはかなり強い力が必要となる場 合があり、通常は、加えることができる力の強さによる制約ではなく、圧迫によって誘発される疼痛による制約を受ける。圧迫力が 15 g/mm 2 (約 5 PSI )を超えると痛みが急増し、圧迫力が 80 g/mm 2 ( 約 25 PSI) 以上になると激痛が頻繁に生じることから、臨床応用は大幅に制限される 67,68 。マイボーム腺の物理的圧迫は、その方法にかかわらず、マイボーム腺閉塞物およびその他の分泌物をマイボーム腺から圧出し、それにより正常なマイボーム腺 機能を促進することを目的としている。臨床的には、機能不全が解消するまで物理的圧迫による治療を続けることが推奨される。

コメント: 眼瞼清拭は、治療法が十分に標準化されておらず、患者のコンプライアンスが不確実であ るものの、 MGD および眼瞼炎に対する有効な主流の治療法であると広く認識されている。眼瞼清拭の特定の方法を比較する試験が実施されれば、簡単でおそらく有効と思われる この治療法に関する、エビデンスに基づいた推奨を行うことができるであろう。利用可能な多くの眼瞼加温法の有効性を比較した試験も少ない。しかしながら、 世界の専門家および臨床医の間では、この治療法を支持するという点でほぼ合意が得られていることから、眼瞼加温および眼瞼清拭について患者に指示を与える とともに、コンプライアンスを維持するよう、また自覚症状の長期的なコントロールを維持するよう説得する必要がある。ある年の検査から翌年の検査までの 間、多くの患者がこれらの方法に対するコンプライアンスを維持する可能性は低いことから、患者のコンプライアンスを保証するための手段としてフォローアッ プ検査を推奨すべきである。

MGD の治療における局所抗生物質投与

MGD の病態生理における細菌の役割は不明確であり、正常な眼瞼微生物叢の至適バランスが完全には理解されていないことから、治療における局所抗生物質の役割は 明らかになっていない。細菌感染が MGD における一次的な病態生理学的過程であることを示唆する エビデンス は存在しないが、 MGD において頻繁にみられる数多くの臨床所見は、眼瞼に定着する細菌への作用に関連している可能性がある。細菌は眼表面およびマイボーム腺機能に対して直接的 にも間接的にも作用を及ぼす可能性がある。この中には、細菌の毒性産物(リパーゼを含む) の産生に対する 直接的な 作用や、マトリックスメタロプロテアーゼ( MMP: matrix metalloproteinases ) 69 、マクロファージ機能、サイトカインバランスなどの眼表面のホメオスタシス機構に対する間接的な作用が含まれる( Jacot JL, et al. IOVS 2008;49:ARVO E-Abstract 1985 )。感染過程と炎症過程の両方を特徴とする MGD の過程における細菌の役割の複雑さおよび不確実さは、治療に関する適切な推奨事項を設定する上で意味を持つ。査読された試験が存在しないことから、 MGD に対してこの治療薬類の使用を推奨することは推測に基づくものとみなさなければならず、読者は検討されたデータの適用可能性を個別に評価する必要がある。

MGD 患者の眼瞼縁に細菌が存在することを実証しただけでは因果関係があることにはならない。眼瞼炎患者の眼瞼で確認される、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(表皮 ブドウ球菌)、黄色ブドウ球菌、アクネ菌、その他の微生物の過度の定着増殖 70,71 は副現象である可能性があり、 MGD において変化が生じている眼瞼環境は微生物にとって正常な眼瞼環境より生息しやすい可能性があることを示している。眼瞼縁上皮の角質化、マイボーム腺開口 部の範囲内および/または周辺部の角質化細胞残屑の蓄積、異常脂質の存在はいずれも、常在細菌叢にとって栄養分が豊富な基質となる。したがって、それに続 くリパーゼなどの細菌の毒性産物の放出あるいは炎症誘発性サイトカインの二次的な産生および放出が病原性である可能性もある。過剰な細菌増殖により、特定 の微生物種が優先的に選択されて病原性が生じることがある。過剰な菌増殖をきっかけに特定の細菌種が毒性を有する可能性がある細菌産物を放出するようにな ることを説明するメカニズムとして、クオラムセンシングが提唱されている 72,73 。通常は、一種のフィードバック機構として自己誘導物質と呼ばれるシグナル伝達分子が働き、細菌は同一環境内における自らと同じ細菌種および他の細菌種の 相対数を感知して共存を促進する。環境内に新たな細菌種が出現したことをきっかけに、このシステムに機能不全が生じることがあり、その結果、毒性を有する 可能性がある細菌産物が放出されることがある 74,75 。

理論的には、ある抗生物質製剤が MGD の治療に有益であるためには、 MGD において存在している可能性が最も高い病原体に対して有効でなければならない。抗生物質およびその作用に関する包括的検討は本稿の範囲を超えるものである が、一般的に用いられる局所抗生物質、ならびにそれらの用量および長所・短所について簡単に検討する。

バシトラシン: バシトラシンは細菌の細胞壁合成を阻害するタンパク質ジスルフィド異性化酵素阻害 剤である。バシトラシンは全身使用すると腎毒性が極めて高くなりうることから、主に局所薬剤として使用されている。また、水溶解性が低いため、主に軟膏剤 としての使用に限定されている。バシトラシンはペニシリンとほぼ同じ抗菌スペクトラムを有しており、前部眼瞼炎の治療にも使用されている 76 。

フシジン酸: フシジン酸はグラム陽性菌に有効な局所抗生物質であり、 1962 年以降臨床使用されている。フシジン酸は感受性細菌においてアミノアシル -sRNA のタンパク質への移動を阻害することによりタンパク質合成を阻害する。フシジン酸は眼瞼炎を治療する目的では広く使用されていないものの、研究の結果、眼 瞼炎およびそれに関連する酒さに有効である可能性が示されている。 Seal ら 77 の試験(臨床研究レベルⅡ)では、 1% フシジン酸を被験者に投与したところ、眼瞼炎と酒さを合併している患者の 75% において自覚症状の改善が認められた。これに対し、オキシテトラサイクリンの経口投与により自覚症状の改善が認められたのは、これらの患者のちょうど 50% であった。酒さを有しない眼瞼炎患者の改善率はこれよりはるかに低かった。これらの患者はフシジン酸単独に対しては反応しなかったが、 25% の患者がオキシテトラサイクリンに反応した。

メトロニダゾール: メトロニダゾールは、酒さの治療を目的とする 1% 皮膚用薬として FDA に承認されており 78,79 、感受性細菌に対する殺菌性を有する。メトロニダゾールの正確な作用機序は完全には理解されていないが、未知の極性化合物分解産物が嫌気性菌の DNA および核酸の合成を阻害することでメトロニダゾールの抗菌作用に関与していると考えられている。 Barnhorst ら 78 (臨床研究レベル II )が患者 10 例を対象に実施した試験では、眼酒さに対して眼瞼清拭と眼瞼縁への局所メトロニダゾールゲル塗布を併用して 12 週間実施したところ、眼瞼清拭単独を実施した僚眼と比べて、眼瞼・眼表面スコアを改善させる効果が高かった。この試験ではメトロニダゾールの投与による副 作用は確認されなかった。 Saccà ら 80 の報告によると、ヘリコバクター・ピロリ培養陽性の眼瞼炎患者では、メトロニダゾール療法に対する有効反応率は 50% であったが、 Saccà らは慢性眼瞼炎の起因菌としてのヘリコバクター・ピロリの性質についてはさらなる評価が必要であると結論付けている。

フルオロキノロン系薬: フルオロキノロン系抗生物質点眼剤が利用可能となったことは、広範囲の眼 感染症における処方慣行に影響を及ぼしている 81 。これらの薬剤は眼表面毒性が極めて低く、グラム陽性菌とグラム陰性菌の両方を含む幅広い細菌に対して適用可能であり、重篤な角膜感染の治療においても選 択すべき治療法となっている。明らかになりつつある細菌耐性に関する懸念は、眼瞼炎患者に対してこの極めて有効な抗生物質類が幅広く使用されることを妨げ る要因の一つになっている 82,83 。

マクロライド系薬: マクロライド系抗生物質は放射菌(土壌細菌)産生物またはそれらの半合成誘導体で ある。エリスロマイシンは最初のマクロライド系抗生物質であり、 1950 年代初期に土壌中で発見されてから広く利用されている。エリスロマイシンおよびその他のマクロライド系抗生物質は、細菌リボソームの( 50S サブユニット中の) 23S rRNA 分子に結合することによってペプチド鎖の延長を遮断してタンパク合成を阻害する。エリスロマイシンは頻繁に使用され、淘汰圧が高いことから、広範囲に使用 されることにより、グラム陽性菌の耐性が誘発されるおそれがある。そのため、眼感染に対してエリスロマイシンを使用することの全体的な有効性については現 在疑問が持たれている。エリスロマイシンの水への溶解度が低いことも、エリスロマイシンの眼科使用における制約となっている。したがって、エリスロマイシ ンは眼軟膏として調合されることが最も多い。点眼剤は欧州の一部の国で市販されている。アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシンなどの 比較的新しい局所マクロライド系薬が登場している。これらは従来のマクロライド系抗生物質と比べて抗菌スペクトルの範囲が広く、移行性も優れている 84,85 。

抗生物質の抗炎症有効性: マクロライド系抗生物質は直接的な抗菌作用とは別の免疫調節作用および 抗炎症作用を発揮する。マクロライド化合物の影響を受ける炎症反応に関与しているさまざまな細胞過程および分子過程を理解する目的で、過去 10 年間に多くの試験が実施されている。大部分の in vivo 試験は慢性の炎症性呼吸器疾患(喘息およびびまん性汎細気管支炎)患者を対象としたものであった。これらの試験では、治療量未満のマクロライド系薬を呼吸 器疾患患者に投与したところ、臨床的・機能的改善が認められ、時として投与開始から数週間以内に改善が認められた 86-88 。これらの呼吸器疾患と MGD の間には性質上の類似点が存在する。両者とも、複雑なバイオフィルムを持つ粘膜表面に対する感染・炎症病態生理の要素が関与している。呼吸器疾患の治療に おいて有用であることが確認されている薬剤が、 MGD の治療においても有用であるか否かについて研究する価値がある。

上記の有益性をもたらす特異的な分子メカニズムは不明であるものの、いくつかの領域に関して研究が行われている。マクロライド系薬が炎 症誘発性メディエーターに及ぼす作用については、臨床背景や in vitro で研究が行われている。いずれの場合もサイトカイン(特に IL-8 、 IL-6 、 TNF-α )の放出の有意な減少が確認されている 89,90 。これらのサイトカインの MGD における役割については十分に理解されていないものの、ドライアイにおける役割については研究が比較的進んでいる。

さらに、マクロライド系薬は走化性、貪食作用などの好中球の機能に強い作用を及ぼす 91,92 。マクロライド系薬が好中球に及ぼす作用は、接着タンパク質発現のダウンレギュレーションを介している可能性がある 93,94 。マクロライド系薬はマクロファージなどの食細胞の機能にも強い作用を及ぼす 11,15,95-97 。最後に、マクロライド系薬は MUC5AC の産生をコードする遺伝子をダウンレギュレーションすることが報告されている 88,98 。喘息、嚢胞性線維症、自己免疫性細気管支炎などの呼吸器疾患において働いているメカニズムの多くは MGD と共通のものである。

マクロライド系薬は、肺疾患において問題となる粘液状の緑膿菌株を保護するバイオフィルムを分解し、バイオフィルムのさらなる形成を阻 止する作用を有する。 14 員環および 15 員環のマクロライド系薬のうち、アジスロマイシンはこれらの作用強度が最も高いことが実証されており、これは呼吸器疾患における、おそらく MGD においても、アジスロマイシンの免疫調節作用をさらに支持するものである 99 。これらの領域に関する広範囲の研究が進行中である。

本稿で簡単に要約を示した大量のデータにより、 MGD の治療においてアジスロマイシンなどのマクロライド系抗生物質が果たす役割に関する研究への関心が高まっている。経口投与後、マクロライド系薬では血清中 濃度は低く、組織中濃度は高かったが、アジスロマイシンの場合には組織中消失半減期が延長している。 FDA 承認の投与法に従い、アジスロマイシン点眼液( AzaSite 、 Inspire Pharmaceuticals 、ノースカロライナ州ダーラム)をウサギモデルに対し、最初の 2 日間は 1 日 2 回 1 滴点眼し、その後の 5 日間は 1 日 1 回 1 滴点眼したところ、眼瞼中アジスロマイシンの最大濃度は 180 µg/g に達し、半減期は 125 時間であった(製造業者の非公表データ) 100 。

MGD の治療における抗生物質に関する公表された試験の検討: 局所メトロニダゾールと眼瞼清拭の併用と眼瞼清拭単独を比較した 1 つの試験(臨床研究レベルⅡ)では、眼瞼スコアと眼表面スコアの合計について、投与眼では有意な改善が認められたが、対照眼では認められなかった 78 。

別の単一施設オープンラベル臨床試験では、 1% アジスロマイシン溶液点眼により、 2 および 4 週間後において、 MGD の自覚症状および他覚所見の有意な改善が認められた。自覚症状および他覚所見の消失は圧出されたマイバムの分光分析と相関しており、脂質の配列およびマイ ボーム腺分泌物の脂質の相転移温度の改善を実証している 101 (臨床研究レベル III )。

ある多施設共同オープンラベル試験(臨床研究レベル III )では、眼瞼炎を有する被験者の治療における 1% アジスロマイシン点眼の有効性が実証された。アジスロマイシンを 4 週間投与したところ、第 29 日において治験医師評価によるマイボーム腺のプラギング、眼瞼縁の充血、眼瞼結膜の充血および眼脂の他覚所見はベースラインと比べて有意に改善し( P ≦ 0.002 )、その状態は治療後 4 週間維持された( P ≦ 0.006 ) 102 。最近実施された別のオープンラベル試験(臨床研究レベル III )では、 MGD 眼瞼炎患者に対してアジスロマイシンとウォームコンプレスの併用またはウォームコンプレス単独による治療を実施した 103 。最初の 2 日間はアジスロマイシンを 1 日 2 回投与し、その後の 12 日間は 1 日 1 回投与したところ、アジスロマイシン投与群ではマイボーム腺のプラギング、マイボーム腺分泌物の質、眼瞼充血が有意に改善した。また、自覚症状の緩和につ いて良好または極めて良好と評価した患者の割合もアジスロマイシン群の方が高かった。投与前後におけるマイボーム腺分泌物の分光分析データでは、脂質の配 列パターンの回復および脂質相転移温度の相関的な低下を示しており、アジスロマイシンが MGD においてマイボーム腺脂質に作用するリパーゼを変化させることを示唆している 101 。

アジスロマイシンの有効性は前述のいくつかの要因によるものかもしれない。アジスロマイシン全身投与の動物試験では、抗菌作用と同じく 抗炎症作用を有することが示されている 87,104 。また、複数の薬物動態試験においても、アジスロマイシン 1 滴点眼後、 6 日間にわたりすべての組織および体液において検出されたことが確認されており、アジスロマイシン点眼の作用は長時間持続するであろうことを示唆している 100 。

コメント: 抗生物質の点眼投与は MGD の管理における新たな可能性と困難をもたらすものであり、 MGD の治療法として完全に理解されるには至っていない。眼瞼関連細菌に対する活性を有する数種類の抗生物質の局所・全身投与が利用可能であるが、 MGD の抗菌薬による管理を最終的に指導するには、無作為化比較対照臨床試験から得られた確実なエビデンスは存在しない。少数の比較試験が実施されているもの の、 MGD の長期管理スキームにおいて抗炎症作用があると考えられているマクロライド系薬などの抗生物質の局所投与の役割をさらに明らかにするためには、研究を重ね る必要がある。

眼瞼炎におけるニキビダニ属( Demodex )寄生の治療

ニキビダニ属は頭・頚部および体幹・尾部の各体節が明瞭な細長い形のダニで、頭・頚部に 4 対の足がある。ニキビダニ属のダニは 100 種を超えるが、その多くは数種類の哺乳類の毛包脂腺系に寄生する偏性共生生物である。 Demodex folliculorum および Demodex brevis はヒトにおいて最も一般的にみられる外部寄生虫であることが確認されている。眼では、 D. folliculorum は睫毛包において、 D. brevis は睫毛皮脂腺において選択的に確認される。 MGD の発症機序におけるニキビダニ属の役割は、まだ説得力のある形では確立されていない 105,106 (臨床研究レベル III )。

ニキビダニ属寄生は 10 歳未満の健常児には認められず、加齢によりその割合は上昇し、高齢者では 100 %の割合で皮膚に認められる可能性が高いと考えられている 10,107 。ヒトの多くの皮膚障害の原因としてニキビダニ属の関与が示唆されているものの、その発症の役割については長い間議論されている 10,108,109 。というのも、一部のニキビダニ属が無症状の患者の皮膚に発見されることが一つの理由になっている。

睫毛包のニキビダニ属寄生は前部眼瞼炎の発症に関与すること、そして円筒状のふけが特徴的な臨床所見であることを示すエビデンスが存在 する 110,111 。 Gao ら 110 および Keirkhah ら 111 の報告によると、 50% ティーツリーオイル( TTO: tea tree oil )を用いた週 1 回の眼瞼のこすり洗いおよびティーツリーシャンプーを用いた 1 日 1 回の眼瞼のこすり洗いは、眼のニキビダニ属寄生を除去する効果が in vivo で認められ、大部分の患者では 4 週後にニキビダニ属の数が 0 になった。これに伴い、以前は難治性であった眼表面炎症が改善した。 TTO は抗菌作用、抗真菌作用、抗炎症作用も発揮する場合があることから、その治療上の有益性はダニを死滅させる作用とは無関係である可能性がある。ダニが一般 的な皮膚細菌叢を持ち込む媒介動物としての役割を果たしており 106,112,113 、ダニ・微生物間の共生または片利共生が MGD の発生機序の一部を構成している可能性があるとの仮説が立てられている。顔面酒さとダニの体内で共生的に生息する細菌 Bacillus oleronius に由来する 2 種類のタンパク質に対する血清免疫反応との間には正の相関があることから、眼瞼縁炎を含めた酒さの症状はこの細菌に対する強い宿主免疫応答に起因している可能性があるとの説が提唱されている 105,106 。

コメント: 一部の種類の前部眼瞼炎ではニキビダニ属が病因的役割を果たしており、これらの場合に は TTO を用いた治療が有効であるように思われる。これらのダニが MGD を発症させることを示すエビデンスは依然として存在しないことから、 MGD の治療において薬剤を用いてダニを除去することの役割は不明である。

テトラサイクリンおよびその誘導体(全身投与)

テトラサイクリン系薬は 1948 年に開発された静菌性抗生物質であり、酒さ性痊瘡の皮膚所見の治療に用いることが 1966 年に初めて提唱された 114 。酒さおよび MGD の管理において、テトラサイクリン系薬はその抗菌作用というよりも、主にその抗炎症作用および脂質調節作用のため使用される 79,115-119 (臨床研究レベル I ~ III )。

作用機序: MGD および酒さの治療に現在適用されているテトラサイクリン誘導体の全身用量では、眼瞼における抗菌効果はおそらくわずかしかない。例外はミノサイクリンで、 100 mg の用量で酒さ患者における眼瞼の細菌叢の細菌数が減少することが示されている 120,121 。この知見はこれらの薬剤の脂溶性の相違、ひいては薬物動態の相違を反映している可能性がある。オキシテトラサイクリンおよびテトラサイクリンは低脂溶性 であるのに対し、ドキシサイクリンは脂溶性であり、ミノサイクリンは脂溶性がさらに高い 122 。この試験では、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリンの 1 日 1 回 5 日間の経口投与後に、涙液中のそれぞれの濃度を測定した。オキシテトラサイクリンおよびテトラサイクリンは標準用量では涙液中の濃度が抗菌濃度に達しない ものの、ミノサイクリンは 100 mg の用量で健常者の涙液中の濃度が抗菌濃度に達し、ドキシサイクリンは発育阻止濃度に近い濃度に達する 122 。この試験を実施した研究者は、ドキシサイクリンおよびミノサイクリンはテトラサイクリンやオキシテトラサイクリンより少ない用量で臨床的有効性を示すと 結論付けている。脂溶性によりドキシサイクリンおよびミノサイクリンは中枢神経系に入りやすくなり、おそらく眼およびマイボーム腺を含む眼瞼の組織への移 行に影響を及ぼしているとの仮説が立てられている 122 (基礎研究レベル I )。

しかしながら、 MGD の管理におけるテトラサイクリン系薬の有効性は、微生物のリパーゼ産生の抑制、ひいては眼瞼縁および眼表面における炎症を誘発する遊離脂肪酸およびジグリ セリドの放出に依存することを示す十分なエビデンスが存在する 123-126 (基礎研究レベル I ・ II )。したがって、表皮ブドウ球菌やアクネ菌などの眼瞼内共生生物によるリパーゼおよびエステラーゼの産生は、低用量のテトラサイクリン系薬に強く反応す る。これより程度は低いものの、同じことが黄色ブドウ球菌の感受性株と耐性株の両方に当てはまる。ミノサイクリン療法は、眼瞼の常在細菌叢を減少させるこ とおよび常在細菌叢によるリパーゼの産生を阻害することの両方の理由から、特に注目を集めている。

脂質およびマイボーム腺分泌物に対する作用: テトラサイクリン系薬はリパーゼ活性を阻害することから、有害な遊離 脂肪酸を減少させる作用を有する 125,126 (臨床研究レベル II )。遊離脂肪酸は前眼球涙液層を不安定にするとともに、炎症(特に、好中球走化性および活性酸素種[ ROS: reactive oxygen species ]産生)を促進する。したがって、過度のリパーゼ活性および脂質組成の変化は涙液の安定性に直接的に影響を及ぼし、マイボーム腺内および涙液中、そしてお そらく眼表面のいたるところに炎症を生じさせる。高オレイン酸も眼瞼縁の角質化およびマイボーム腺開口部のプラギングに関与している可能性がある。ミノサ イクリン 100 mg/ 日を 3 ヵ月間投与したところ、ジグリセリドおよび遊離脂肪酸の顕著な減少が認められている 125 (臨床研究レベル III )。

炎症の抑制: テトラサイクリン系薬は眼組織または眼科系以外の部位に現れる複数のメカニズムおよび事象を介して抗 炎症作用を発揮する可能性がある。標的細胞として考えられるのは、好中球(遊走および走化性)、リンパ球(増殖、遊出、活性化)、そして特に上皮細胞(角 膜、結膜、その他)である。抗酸化作用(抗 ROS の阻害および NO 合成酵素の分解促進)ならびにホスホリパーゼ A2 およびメタロプロテアーゼ( MMP: metalloproteinase )の阻害も確認されている 12,127 (基礎研究レベル I )。

MMP の阻害: MGD 患者では、ゼラチナーゼ( MMP2 および MMP9 )、ストロメライシン( MMP3 )およびサイトカイン( IL-1α および IL-1β )の涙液中濃度が上昇していることが確認されている 14,128,129 (基礎研究レベル I および II )。さらに、 MMP と炎症性サイトカインとの間で強い相互作用が行われており、双方が相手のメディエーターを不活性前駆体の状態から活性化させる。酒さ患者ではコラゲナーゼ -2 ( MMP8 )の涙液中濃度が上昇していることも確認されており、これはドキシサイクリン投与により低下する 130 (臨床/基礎研究レベル II )。

抗血管新生作用および抗アポトーシス作用: 直接的な作用(カスパーゼ -1 IL-1β の阻害)または間接的な作用(血管新生に対するコラゲナーゼおよびその他の MMP 阻害: MMP または ROS を介するアポトーシス)を介した抗血管新生作用および抗アポトーシス作用も報告されている 14 。

臨床的効果: 多くの臨床試験において、テトラサイクリン誘導体の使用は有効であると報告されてい る。研究対象として最も多いのは皮膚および/または眼の症状を伴う酒さである。大部分の試験はプラセボ対照試験ではなかったものの、自覚症状、眼瞼縁、眼 表面の炎症、涙液層の安定性に対する有意な作用が報告されている。ただし、角膜炎および結膜染色に対する作用は比較的小さいように思われる 115-118 (臨床研究レベル I 100 、臨床研究レベル II 98,99,101 )。全体的な忍容性は概ね良好であり、下痢、悪心、頭痛、光感作、膣または口腔のカンジダ症などの若干懸念される事象が発現するが、低用量の場合には報告 されるこれらの事象の程度は軽くなる。ほとんどの場合、これらの副作用により投与中止に至ることはない。

用量および投与経路: 大部分の試験は抗菌作用を示す濃度未満と考えられる用量のテトラサイクリン 系薬の経口投与について検討しており、用量範囲は 250 mg を 1 日 1 ~ 4 回投与(テトラサイクリンおよびオキシテトラサイクリン)から 50 ~ 100 mg を 1 日 1 ~ 2 回投与(ドキシサイクリンおよびミノサイクリン)までであった。抗炎症作用があるドキシサイクリンが酒さに対して選択されたが、用量は抗菌濃度未満の 40 mg/ 日であったことに留意する必要がある 79,119 (臨床研究レベル I )。

ドキシサイクリンについては局所投与も提唱されており、実験モデルを対象とした試験が実施され、 MMP 活性化、角膜バリア機能、眼表面角質化について期待できる結果が得られている 12,129 (基礎研究レベル I 、臨床研究レベル III )。

臨床試験および方法上の問題: テトラサイクリン誘導体は酒さおよびさまざまな皮膚疾患に対して広 く使用されている。 MGD については、レベル II または III の臨床試験におけるテトラサイクリン誘導体の使用が報告されており 115,116,118 、自覚症状および他覚所見の有意な改善が認められている。しかしながら、公表されたプラセボ対照試験(臨床研究レベル I )はこれより少なく、これらの試験において認められた効果は、投与前後で効果を比較したオープン試験より小さいものであった 79,119 。 1 つの興味深いレベル I の試験に、眼瞼清拭単独と眼瞼清拭とミノサイクリンの併用を比較したものがあるが、この試験では、脂肪酸組成の顕著な変化が認められるとともに、すべてで はないが一部の臨床所見が改善した 126 。しかしながら、プラセボ対照試験ではない試験においても、多くの臨床試験においてテトラサイクリン系薬が重要な役割を果たしていることを強く支持する、 リパーゼ活性の低下 126 、マイボーム腺の脂質の改善 125 、 MMP-8 の減少 130 などの客観的な生物学的基準が報告された。さらに、実験モデル(主にドライアイの実験モデル)における概念実証が頻繁に実施されており、 MMP 、炎症性サイトカイン、角膜バリア機能不全または角質化の減少ないし正常化が示されている。

コメント: テトラサイクリン系薬は眼酒さ、眼瞼炎、再発性びらん、角膜血管新生、ドライアイなど のさまざまな眼表面疾患に対して広く使用されている。これらの化合物は、大部分は炎症のコントロールおよびリパーゼの阻害に関連した、いくつかの作用機序 を介して作用している可能性がある。各患者の個別の反応はさまざまであり、プロトコールはエビデンスに基づいたものというよりも経験的なものであるが、テ トラサイクリン誘導体はその抗炎症作用および抗アポトーシス作用を介して、また MGD の発症に関与している遊離脂肪酸の蓄積に対抗することにより、ドライアイと重度の MGD が悪循環する特徴を妨げることに有用な可能性がある。テトラサイクリン系薬の経口投与は、おそらく酒さ関連眼疾患および MGD の治療法として研究が進んでいるものの一つであろうと考えられるが、さらに他の治療法との比較試験を実施する必要がある。

ステロイド

炎症過程と感染過程の両方を特徴とする他の疾患にも当てはまるように、 MGD では炎症が認められる場合も認められない場合もあることから、 MGD の治療におけるコルチコステロイド局所投与の役割については論争となっている。慢性炎症性疾患において炎症をコントロールすることの臨床的価値は明らかで あるが、コルチコステロイドの長期投与により合併症が発生する可能性があることも明らかである。ステロイドによる白内障発生、眼圧上昇、その他のよく知ら れている発症しうる合併症の可能性について、通常は視力を脅かすことのない疾患( MGD )をコントロールするための許容可能なリスクとして正当化することは困難である。炎症の急性再燃に対するコルチコステロイド局所投与の役割を定義すること や、 MGD の炎症性合併症を管理することの方がはるかに容易である。そうした状況の例としては、霰粒腫に対するコルチコステロイドの病巣内注射、 MGD に関連した周辺部過敏性角膜炎の治療を目的としたコルチコステロイド点眼などが挙げられよう。臨床レベル II のエビデンスは霰粒腫に対する病巣内コルチコステロイド投与を支持している 131-134 。清拭、ウォームコンプレス、抗生物質局所投与、ステロイドなどの併用療法に関する試験は短期間で実施されている 59,135 ものの、 MGD に対してコルチコステロイドあるいはコルチコステロイド・抗生物質合剤の眼軟膏または点眼薬による長期維持療法を支持する公表された試験はない。 MGD 患者におけるそれらの治療法のリスクを定量化した試験は公表されていないが、他の疾患における長期コルチコステロイド療法のリスクに関する公表された試験 から結論を導くことができるかもしれない。ステロイド誘発による高眼圧症のリスクは 50% ~ 60% と高い可能性がある 136 。パネル委員は 2006 年、眼瞼炎に対してステロイド点眼併用または併用なしに、場合によっては抗生物質点眼と併用するが、入念な眼瞼清拭の実践を入手可能なエビデンスが支持し ていることを確認した 137 (臨床研究レベル III )。

カルシニューリン阻害薬およびシクロスポリン

ステロイド節約法は慢性炎症性の眼症状をコントロールするために一般的に用いられる。非ステロイド性抗炎症薬( NSAID: nonsteroidal anti-inflammatory drug )の点眼は、角膜上皮症の発現頻度が高いことから、長期治療法には一般的には組み込まれない 138 。シクロスポリンのようなカルシニューリン阻害薬は、ブドウ膜炎、アトピー性角結膜炎、春季カタルなどの多くの炎症性眼疾患の治療に使用される。シクロス ポリン点眼液は、炎症性ドライアイ患者の涙液産生量を増加させることから、米国食品医薬品局( FDA )により承認されている。小規模の患者群を対象に実施した公表試験のいくつかは、酒さおよび/または涙液減少型ドライアイと合併している MGD に対してシクロスポリンを用いて治療することを支持している 139-141 。 Perry ら 140 (臨床研究レベル 1 )は、自覚症状、眼瞼縁不整、マイボーム腺閉塞、眼瞼縁の充血、毛細血管拡張によって定義した MGD 患者において、 3 か月後に眼瞼縁の充血、マイボーム腺内容物、毛細血管拡張、角膜染色の有意な改善が認められた。人工涙液点眼群とシクロスポリン点眼群との間にシルマース コアの有意な改善は認められなかったが、シルマースコアは中程度であった(ベースライン時:~ 12 mm )。閉塞したマイボーム腺に対する有意な作用は 2 ヵ月後の来院時まで認められず、 3 ヵ月後も結果は変わらなかった。この試験には、被験者数が比較的少なく、脱落率がかなり高いという制約があった( 33 例中 26 例が試験を完了) 122 。 Rubin と Rao 141 はシクロスポリン点眼に関する別の試験を実施した(臨床研究レベル I ~ II )。この試験では、後部眼瞼炎患者 30 例を対象に、シクロスポリン点眼とトブラマイシン/デキサメタゾン点眼(各群 15 例ずつ)の比較を行った。後部眼瞼縁の充血および毛細血管拡張が認められ、ウォームコンプレス・清拭、ドキシサイクリン、点眼薬、軟膏による治療に反応し ない患者を眼瞼炎と定義した。ベースライン時のシルマースコアは Perry らの試験より低く(ベースライン時:~ 8 mm )、 3 ヵ月後のシルマースコアはベースライン時と比べて両群とも統計学的に有意に改善しており、シクロスポリン群はトブラマイシン/デキサメタゾン群より有意に 優れていた( 2.33 mm 差)。マイボーム腺分泌物の質は試験期間中に改善し、シクロスポリン群の結果が優れていることが示されたが、 1 未満のグレード差は臨床的に意味のある差ではない可能性がある 123 。

Schechter ら 139 (臨床研究レベル I )は酒さ関連の眼瞼および角膜の変化を評価した。シクロスポリン点眼群ではシルマー試験により測定した涙液産生量(ベースライン時の 5 分後の値は~ 10 mm )が約 3 mm 増加し有意に改善したのに対し、人工涙液点眼群ではシルマースコアが悪化したことが示された。 3 ヵ月間の投与後、シクロスポリン点眼群では圧出可能なマイボーム腺の平均数も有意に改善した。

1 つの探索的試験において、アトピー性角結膜炎( AKC: atopic keratoconjunctivitis )患者の眼瞼湿疹の治療における眼圧に関して、コルチコステロイド軟膏と比較する形でタクロリムス軟膏の評価が行われているが、特に MGD に焦点を当てた試験ではなかった 142 。この試験を実施した研究者の報告によると、いずれの治療法も眼瞼湿疹の自覚症状および他覚所見を軽減させる上で有効であり、湿疹(皮膚総スコア)の他覚 所見に関するタクロリムスの有効性は優越性がほぼ認められた( P = 0.05 )。タクロリムスが MGD の特異的な他覚所見に及ぼす効果についてはまだ評価が行われていない。

コメント: シクロスポリン点眼の試験は、シルマースコアの低下や眼酒さの存在の影響により解釈が 複雑になることから、結果の解釈がやや難しい。これらの 3 つの試験はいずれも、被験者数は少なかったものの、何らかの形の盲検化により実施者のバイアスを小さくした無作為化対照試験としてデザインされている。参 加者の脱落は常に大きな問題であるが、小規模の試験では特に重大な問題となる。さらに、これらの試験においては眼瞼の一部の要素について検討されたもの の、患者の MGD を分類するための統一的な基準が用いられておらず、試験間の比較は困難である。さらに、中等度の涙液減少が存在しており、これは 3 つのうち 2 つの試験において改善したが、治療により涙腺の状態が改善し、その間接的な結果として眼瞼縁の状態も改善したのか、あるいはその逆なのかという難問が生ま れている。いずれの場合も、効果は 2 ヵ月後の来院時まで認められず、涙液減少型ドライアイと MGD が合併(または混在)している患者の管理を決定する際に、このことを考慮に入れる必要がある。この領域におけるさらなる研究は必要であり、これらの試験結 果は考慮に値する。 タクロリムスに関するさらなる試験は当然であるかもしれない。

性ホルモン

広範囲の基礎研究においてアンドロゲン性ホルモンとマイボーム腺との関連について検討されている。アンドロゲンはマウスのマイボーム腺 における遺伝子発現に影響を及ぼすことが示されており、特に、角質化に関連している遺伝子を抑制し、脂質生成に関連している遺伝子を刺激する 143,144 。アンドロゲン受容体機能不全はマイボーム腺機能の顕著な臨床的異常と関連があるとされており 145 、全身抗アンドロゲン薬の使用は臨床的 MGD と関連があるとされている 146 。基礎研究において得られたこれらの手がかりがあるものの、局所アンドロゲン製剤がヒトにおいて有効性を示すレベル I または II の公表された試験は存在しない。 1 つの症例報告(臨床研究レベル III )が公表されたが、この報告によると、 54 歳の男性にアンドロゲン含有点眼薬を投与したところ、ドライアイの治療に成功し、その結果涙液層の脂質相が回復した 147 。

必須脂肪酸

ω-3 脂肪酸の栄養補助食品は、プロスタグランジン代謝の抗炎症性副産物に有益な作用を及ぼすことから、近年支持が高まっている。臨床研究レベル II の疫学試験 148 および臨床試験 149 では、 ω-3 経口補助食品の使用とドライアイの自覚症状との関連が実証されている。

MGD に対する ω-3 栄養補助食品の有効性に関する公表された試験はほとんどない。 Pinna らは 150 (臨床研究レベル II )、 MGD 患者において ω-3 補給は眼瞼清拭およびプラセボ治療より優れていたと報告している。最近公表された 1 つの研究の中には、 MGD 患者を対象とした ω-3 脂肪酸栄養補助食品の使用に関する 1 つの無作為化比較対照試験(臨床研究レベル I )が含まれていた。この前向き無作為化プラセボ対照盲検試験では、すべての点眼およびテトラサイクリン系の投薬を中止した単純な閉塞性 MGD および眼瞼炎を有する患者に対して、 ω-3 栄養補助食品 2,000 mg を 1 日 3 回、 1 年間にわたり経口投与した。評価項目には、「眼表面疾患指数」( OSDI: Ocular Surface Disease Index )により評価される自覚症状の重症度 151 、ならびに涙液の産生量および安定性、眼表面の染色、マイボーム腺の評価、マイバムの評価などの客観的な臨床的指標が含まれていた。この試験では、自覚症 状および他覚所見についてベースライン時の測定値と 1 年後の測定値を比較したが、投与群

とプラセボ群のいずれにおいても自覚症状および他覚所見が改善する有効性が報告された(プラセボ群の方が改善の度合いは小さかった)。 主要評価項目である TBUT 、マイバムスコア、 OSDI については、両群間に統計学的な有意差は認められなかった(両群とも改善した) 152 。

コメント: 公表されたデータから、 MGD 患者の治療計画として食事の変更または ω-3 栄養補助食品の組み入れを推奨するある種のエビデンスが示されている。 ω-3 栄養補助食品は、 MGD 単独、 MGD と涙液減少型ドライアイの合併、涙液減少型ドライアイ単独のいずれに分類された患者にとって有益であるかを明らかにするために、この点を試験デザインに組 み入れた、被験者数がより多い大規模臨床試験をさらに実施する必要がある。

外科的選択肢

MGD の治療における外科的選択肢は、一般的には原疾患である MGD を対象としたものではなく、 MGD の合併症の治療に限定される。 MGD は、結膜弛緩症、眼瞼内反、眼瞼外反、水平眼瞼弛緩などの疾患が合併することがあるが、これらの疾患は外科的に治療されることがあり、これらの症状を治療 することにより MGD の症状を改善できる場合がある。眼瞼の運動に伴う機械的なポンプ作用によりマイボーム腺分泌が促進されることがある。この方法では、内側または外側の眼角 靱帯における一定量の張力が必要となる。水平方向の眼瞼張力を高めることにより、マイバムの分泌量が増加することがある。両眼の刺激感およびフロッピーア イリッド症候群を有する 41 歳の男性に関する症例報告(臨床研究レベル III )がされている。外科的矯正時に摘出した瞼板の組織学的検査では、マイボーム腺の嚢胞変性および扁平上皮化生、異常角質化、肉芽腫形成が認められた。これ らの所見は MGD がフロッピーアイリッド症候群における角結膜炎に関連している可能性を示唆するものである 153 。

霰粒腫、睫毛乱生、眼瞼縁の角質化のような、他の病的な眼瞼症状は MGD に関連している可能性がある。 MGD に続発する睫毛乱生、角質化、瘢痕性眼瞼内反の発生率は依然として不明である。これらの疾患に対して適切な外科的処置による治療を行うと、患者の自覚症状 が改善することがあるが、特に MGD に対する作用については判断できない。これらの合併症の外科的管理に関する考察は本稿の範囲を超えるものであり、そうした合併症の治療は既存の MGD の管理とは別に、なおかつ同時に実施する必要がある。


排出管内へのプローブ挿入は MGD の治療法として最近導入されている。この MGD 管理法に関する 1 つの報告(臨床研究レベル III )の中で、非末期 MGD の一次治療としての改良された外科的処置について説明されている。患者 25 例を対象としたこの試験では、自覚症状の短期的な緩和が認められる頻度が高いことが実証された( Maskin S, et al. IOVS 2009;50:ARVO E-Abstract 4636 ) 154 。この手法に関するさらなる研究が進行中である。

治療に関する推奨事項

病期別治療手順

MGD の臨床的重症度を表す病期分類法について一般的に受け入れられている定義は存在しないことから、病期に基づいて治療計画を提案することには問題がある。し かしながら、論理的でエビデンスに基づいた治療法の考案を試みる眼科医療従事者の一助になることを期待して、以下に示す病期分類の要約( Table 3 )および病期別治療手順 155-160 ( Table 4 )を提唱する。

病期分類においては、 MGD が眼表面に及ぼす作用と涙液減少型ドライアイが眼表面に及ぼす作用を区別することが臨床的に困難であると認識されている。さらに、合併症が存在しているこ とが多い。そこで、分類された疾患の臨床像を Table 3 に示す。「眼瞼や眼表面に併発して生じる」疾患( plus disease )と定義される合併症により、標準治療プロトコールに準拠した管理を同時に実施する必要が生じることがある。

MGD の管理に対するエビデンスに基づいた治療法を Table 4 に示す。この病期別診断手順は、「診断報告書」に掲載されている重症度分類に類似しているが、同一のものではない。この一連の治療手順は、複数の治療法に 関する公表された試験のエビデンスに基づいた検討を考慮し、 MGD と他の合併症の混在に日常的に遭遇する臨床医の意見を加え、本稿の作成に参加した専門家パネルの推奨事項に関する合意を表したものである。臨床試験につい ては、眼瞼の個々のパラメーターを詳細に分類する方がより適切かもしれない。しかしながら、他の評価基準を示すために分類の詳細を表に組み入れている。

すべての全身薬の投与には、全身性の副作用を考慮する必要がある。上記の治療手順を考慮した場合、テトラサイクリン誘導体の全身投与に よる光毒性および必須脂肪酸( EFA: essential fatty acid )の抗凝固作用が特別な懸念事項となる可能性がある。 EFA は多くの注目を集めている栄養補助食品であるが、 MGD に対する必須脂肪酸の有効性を支持する、これまでに公表された臨床試験は 1 つに過ぎない。十分なエビデンスが存在しないことは性ホルモンの使用についても当てはまる。 MGD の治療におけるホルモンの有効性を臨床的に支持する知見は存在せず、認可された医薬品もない。したがって、本稿では考察を行ってはいるものの、パネル委員 はこの治療法の候補を特定の疾患分類に割り当てないとすることで同意した。長期間のコルチコステロイド点眼療法のリスク(例:白内障および眼圧上昇の誘 発)はよく知られている。したがって、そうした薬剤は MGD の急性増悪の治療に限定して使用すべきであり、長期治療において使用してはならない。コルチコステロイド点眼投与時には、眼圧の定期的なモニタリングが不 可欠である。



TABLE 3. Clinical Summary of the MGD Staging Used to Guide Treatment



TABLE 4. Treatment Algorithm for MGD

MGD の追加療法および合併症

2007 DEWS 報告書はより重度のドライアイに対して、蒸気発生ゴーグル、自己血清、大口径強角膜コンタクトレンズの使用を推奨している 1 。これらの治療法の一部は、 MGD が合併した涙液減少型ドライアイ患者に有益である可能性があるものの、 MGD のみを有する患者を対象としたこれらの治療法の試験は実施されていない。脂質異常または涙液減少型ドライアイ( MGD 関連)を有する患者では、角膜表面の気流の減少により涙液蒸発量が減少する可能性があるという仮説を立てることができる。 Kimball ら 161 は、健常者がゴーグルを装着した場合、瞬目間の涙液層の菲薄速度が低下することを実証している。 MGD を有する被験者を対象とした同様の試験により、涙液層の安定性の背後にある病因に関する洞察がさらに深まることも考えられる。

理論的には、大口径強角膜コンタクトレンズは眼表面をさらなる障害から保護することにより、自己血清は成長因子およびその他の因子の形 で栄養素を供給することにより、それぞれ角膜の健康度を増大させる。 MGD 患者にとってどのような有益性があるかについては不明である。

合併症の治療法は標準治療ガイドラインに準拠したものでなければならず、 MGD とは別に考慮されるべきである。

今後の発展

MGD の正確なメカニズムは依然として明らかにされていないことから、検討中の最新の治療法の中に、症状を緩和するもの、間接的な作用をもたらすもの、基礎疾患 の病態生理に対処するものがあるか否かは不明である。非侵襲的マイボグラフィーや共焦点顕微鏡などの新しい検査機器の開発により、マイボーム腺および眼表 面の機能不全の病態生理に関する理解が深まることが期待される。いくつかの臨床所見は、危険因子、病態生理、新規治療法に関する今後の研究の手がかりとな る。コンタクトレンズ装用者では MGD の有病率が予想より高く、涙液層とマイボーム腺機能との間の相互作用に関与していることが示唆される。点眼による ω-3 脂肪酸補給に関する最近の試験では、予備的な治療可能性が実証されており 16 、他の治療法とともに、将来の MGD の管理法・予防法に対する期待が高まっている。加齢は MGD およびドライアイ症候群の危険因子として認識されていることから、抗酸化剤などの抗加齢療法が将来開発される見込みである 162,163 。

外科的・機械的・物理的治療

長期間に及ぶ治療法に対するコンプライアンスは不良であるのが通例であることから、最小限の適用によって長期にわたる改善が達成される 治療法に関心が集まっている。排出管への外科的なプローブ挿入などのそうした新しい治療法は症候性 MGD の治療法として最近報告されている 154 。小型のステンレススチールプローブ(長さは 2 mm 、 4 mm 、 6 mm のいずれか)をマイボーム腺開口部および排出管の中に挿入すると、眼瞼の圧痛が軽減し、視力が改善し、後部眼瞼炎の他の自覚症状が軽減すると報告されてい る。さらに、マイボーム腺分泌の改善に役立つと考えられている院内眼部加温装置がいくつかあり、これらについては試験が実施された、あるいは開発中の段階 である。これらの手法の長期的な有効性および安全性はまだ実証されていない。

薬物治療

ドライアイの治療選択肢は過去 10 年間に大幅に増加したが、その最も大きな理由は、眼表面機能ユニットの炎症過程に関する理解が深まったことである。この理解は、シクロスポリン、セビメリ ン、ピロカルピンなどの治療選択肢の開発に寄与しており、ドライアイのさらなる治療選択肢に関する研究が続けられている。一方、 MGD の病態生理に関する理解が十分でないことが MGD の薬物治療の開発を妨げている。炎症、ホルモン作用、酸化ストレス、脂質産生、分泌後の脂質変化、加齢はいずれも、 MGD の薬物治療を開発する上で考慮すべき重要な治療上の検討事項である。 MGD の病態生理に関する研究および MGD の自覚症状を有する患者にとって満たされていないニーズに関して研究者が現在抱いている熱意により、新しい治療法の開発が促進される可能性が高い。

単独または併用による既存の治療法は、適正な被験者数で、十分に管理された無作為化盲検臨床試験においてさらに評価する必要がある。現在、 いくつかの有望な薬物治療の評価が進んでおり、 MGD に対しても新たに関心が持たれていることから、新しい治療選択肢の将来は明るい。

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From the 1 Department of Ophthalmology, Heinrich-Heine University, Düsseldorf, Germany; the 2 Tauber Eye Center, Kansas City, Missouri; the 3 Department of Ophthalmology, Quninze-Vingts Hospital, Department of Ophthalmology, University of Paris, Paris, France; the 4 Department of Ophthalmology, School of Dental Medicine, Tsurumi University, Yokohama, Japan; the 5 Department of Ophthalmology, Keio University School of Medicine, Tokyo, Japan; 6 Bascom Palmer Eye Institute, Palm Beach Gardens, Florida; 7 The Eye Institute, University of Genoa, Genoa, Italy; and the 8 College of Optometry, Ohio State University, Columbus, Ohio.

Supported by the Tear Film and Ocular Surface Society (TFOS; http://www.tearfilm.org); individual author support is listed in the Appendix of the Introduction.

Submitted for publication December 6, 2010; accepted March 23, 2011.

Disclosure: Each Workshop Participant's disclosure data can be found in the Appendix of the Introduction.

Corresponding author: Kelly K. Nichols, College of Optometry , 338 W. 10th Avenue , Ohio State University , Columbus , OH 43210-1280 ; knichols@optometry.osu.edu.