はじめに

ドライアイ疾患の原因としては、マイボーム腺機能不全( MGD )がおそらく最も多い。この疾患によって数百万人もの健康と幸福が損なわれているにもかかわらず、 MGD の定義、分類、診断、治療について世界的なコンセンサスはない。そうしたコンセンサスに達する目的で、非営利団体である Tear Film and Ocular Surface Society ( TFOS; http://www.
tearfilm.org )が International Workshop on Meibomian Gland Dysfunction (国際マイボーム腺機能不全ワークショップ、 www.tearfilm.org/mgdworkshop/index.html )を起ち上げた。このワークショップの目的は以下の通りである:

• 正常状態 および MGD におけるマイボーム腺の構造及び機能についてエビデンスに基づく評価を行なう。

• MGD の定義と分類についての理解を深める。

• MGD の診断、評価、重症度分類の方法について検討する。

• MGD における管理と治療法について提案する。

• MGD の治療における薬物介入を評価するための適切な臨床試験デザインを構築する。

• 今後の MGD 研究に対する方針を提案する。

本 MGD ワークショップの報告書の作成に 2 年以上がかかり、 2010 年に完成した。報告書の作成には、臨床および基礎研究の指導者の立場にたっている 50 名以上の世界各国の専門家が携わった。これらの専門家は分科スタデ イ グループ毎にわかれ、現在までに公表されているデータを再検討し、エビデンスの有無および強さを検証した。各スタデ イ グループの報告書は、ワークショップ参加者全員で回覧され、公開フォーラムで発表され、さらに対話的な討論にかけられた。


ワークショップ報告書の全編は IOVS 本号に英語で掲載されている。本報告書は、少なくともその一部が中国語、オランダ語、フランス語、ギリシャ語、イタリア語、日本語、ポーランド語、ポルト ガル語、スペイン語、ロシア語、トルコ語に翻訳されている。これらの翻訳版は TFOS のウェブサイトから入手できる。

本稿では TFOS の MGD ワークショップの結論と推奨の要 旨を述べている。本稿は報告書全体の要約であり、より詳しい内容と参考文献は公開されているオンライン版で閲覧でき る。

From the 1 College of Optometry, Ohio State University, Columbus, Ohio; the 2 Department of Ophthalmology and Visual Sciences, Kentucky Lions Eye Center, Louisville, Kentucky; the 3 Nuffield Laboratory of Ophthalmology, Oxford University, Oxford, United Kingdom; the Departments of 4 Ophthalmology and 5 Pathology and Laboratory Science, Jules Stein Eye Institute, University of California Los Angeles, Los Angeles, California; the 6 Department of Ophthalmology, Keio University School of Medicine, Tokyo, Japan; 7 Georgetown University, Washington, DC; 8 Schepens Eye Research Institute and the 9 Department of Ophthalmology, Harvard Medical School, Boston, Massachusetts.

Supported by the Tear Film and Ocular Surface Society (TFOS; http://www.tearfilm.org); individual author support is listed in the Appendix of the Introduction.

Submitted for publication December 8, 2010; accepted March 23, 2011.

Disclosure: Each Workshop Participant's disclosure data can be found in the Appendix of the Introduction.

Corresponding author: Kelly K. Nichols, College of Optometry , 338 West 10th Avenue, Ohio State University , Columbus , OH 43210-1280 ; knichols@optometry.osu.edu.